うつは甘え?うつは仮病? いいえ、実はけっこうハードな病気なの。

「うつは甘え」「うつは仮病」「うつは気の持ちよう」と言う人がいる。

私は40才でうつ病を発症して、今も治療を続けている。気がついたら40代が半分終わっていた。経歴5年の専業うつである。もはやプロのうつ患者と言っていいと思う。

そんな自称プロうつ患者の立場から言うと「病院で診断されたうつ病は、甘えや仮病ではなく、れっきとした病気」である。Wikipediaにも、ちゃんとそう書いてあるし。

うつ病(うつびょう、鬱病、欝病、英語: Clinical Depression)は、気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害である。-Wikipedia

また「うつは心の風邪」と表現されることもある。アレは製薬会社さんが、軽症うつの患者さんに向けて、新薬を販売促進するためにキャンペーンをした時のキャッチコピーなのだそうだ。キャンペーンは大成功し、「うつは心の風邪」というコピーが広く知られることになった。

このキャッチコピーを聞いたことある率はかなり高いと思う。今の話と関係ないけど、「そうだ 京都、行こう」くらい知名度があるんじゃないだろうか。

そのくらい普及した「うつは心の風邪」というコピーは、心療内科や精神科を受診するハードルを下げる効果があると思う。そういう意味ではこのコピーは、とても上手く出来ている。でもその反面、うつ病に対する偏見と誤解も招いてしまっている。

それは、うつが心の風邪なら、心の弱い人がなるもの、という偏見。また、風邪なら簡単に治る、という誤解。はたまた風邪ならそんなにたいしたことない病気、という誤解。

いやーもう、まいっちゃうよね。とんだ誤解である。でも、そう認識されているのはまぎれもない事実だ。実際のところ、私も自分がうつ病になるまでは、そんな感じに思っていた。

うつ病は、様々な理由から起こる「脳の機能障害」だ。心の持ちようだけの話ではない。人によっては治療に何年もかかる場合もあるし、時には自殺してしまう場合もある。ネットで見ると、うつ病の致死率は15~25%とも言われていたり、全自殺者の9割がうつ病だとも言われていたりする。うつ病は、世間の皆さんが想像するよりも、意外と大変なんである。

人によって発病した原因も度合いも症状も違うので、私は私のケースしか書けないし、まだ療養中なので結論は出せないが、ひとことで言うなら、うつは「マジ最悪」である。私は重症のうつ病と診断された。

不安と恐怖以外の感情が湧かず、何も分からない。何も出来ない。ふとんから出られない。トイレに這っていく。口が聞けない。眠れない。薬で眠れば怖い夢を見る。お風呂に入れない。パソコンや携帯電話に触れない。話し声が怖い。インターホンの音が怖い。家電の電子音が怖い。テレビの音が怖い。すべての音が怖い。恐怖におののいて気がつくと叫び声を上げている。涙が止まらない。もう何がなんだか分からない。理由がないのに不安に苛まれる。体調も思わしくなく、服薬の副作用も出始める。目が回る。身体が痛い。手が震える。気分は最低で死ぬことばかり考える。いつまで続くのか分からない、終わりの見えない絶望感。

誰か、私を、たすけて。

家族も巻き込んで最悪の日々が続いた。何度ももうダメかと思ったけど、やっと今は小康状態をキープしている。
自分でやってみて分かったけど、うつ病は怖い病気である。心が弱いわけでも、甘えでも仮病でも、気の持ちようでもない。

以前、病気に関する知識がない人に「うつなんて仮病!」と言われたことがある。うつがひどく、生命力ゼロの頃だったので、なんのリアクションも返せなかった。

その時の私みたいに、悲しい思いをするうつ患者さんが1人でも減るように、1人でも多く伝わることを願って、私はうつについて書いていこうと思う。