うつ病患者から、全国の精神科医の先生に伝えたい。もし、独立開業するなら聞いて。身につけるべきスキルは「トーク力」。

内科、小児科、整形外科、皮膚科、婦人科と、個人クリックはいろいろあるが、精神科医の先生も、独立しやすい専門科だと思う。

もし、精神科医の先生が、何かのご縁があって、この文章を読んでくれることがあれば、ぜひ、うつ患者の私の意見を聞いてほしい。

患者の意見なんて…、と思うなら、私はうつ病患者になる前は、広告プランナーをしていたので、先生がもし、今からメンタルクリニックを開こうと思うなら、または、開業したけどあまり患者さんが来ないなら、患者兼、プロの広告プランナーの立場からの意見は、何かの足しになると思うので、ぜひ続きを読んでほしい。

まず、先生が自分のクリニックを、人気のメンタルクリニックにしたいなら、クリニックは、優しそうな印象の外観、看板、ホームページにしたほうがいい。

なぜなら、先生の病院に来る可能性のある患者さんは、みんな心が弱っている人達だからだ。

先生がもし、スタイリッシュな、アーバンな感じが好きでも、それは置いといて、優しい色使いやデザインで、癒されるような外見にしたほうが、患者さんは集まりやすくなると思う。

よく、病院はブルーや緑が使われるけど、青も緑も、あまり濃い色はオススメじゃない。他のジャンルの病院なら、清潔感が出せるのでいいけど、メンタルクリニックは、冷たいクールな印象になると客足が遠のくので、ブルーでも明るいターコイズブルーや、キレイなライトグリーンがオススメだ。あったかい感じのブラウンや、オレンジなんかもいいかも。

それと、ホームページの先生のプロフィール写真は、ホームページの中で何より、と言ってもいいくらい、とても重要なので、予算をケチらず、ちゃんとプロに撮ってもらうほうがいい。

ここで注意が必要なのは、プロフィール写真は、立派そうな写真を選ばないことだ。先生は権威を出したいかもしれないけど、その写真を見て、このクリニックに行ってみよう、と思うのは、心が弱った人なのだ。

立派な威厳のありそうな顔写真だと、心が弱った患者さん達は、「叱られるかも」と思って敬遠する。先生の権威も、パッと見でホームページを閉じられたら、なんの意味もなくなってしまう。

メンタルクリニックの、「先生の第1印象」は、来客数を大きく左右する、重要なツカミなのだ。なるべく笑顔で、にこやかな、穏やかな写真を選ぶことをおすすめする。どうしても権威ある感じの写真を使いたいなら、それはfacebookで使うといいと思う。

また、先生に権威がいっぱいあるなら、プロフィール写真の下に羅列するといい。患者さんは、第1印象で、「この先生なら、話を聞いてくれそうかも」と思ってから、先生のプロフィールを読む。優しい写真で掴んでおいて、権威を読んでもらう。この流れを忘れないで。

ここまでが、外側の話。そして、ここからが、何よりも一番大事なことなんだけど、

メンタルクリニックが繁盛するかどうかのカギは、先生に「トーク力」のスキルがあるかどうか、だ。

トーク力と言っても、マシンガントークのように喋る、ということじゃなくて、「聞き出す力」と「伝える力」があるかどうかということだ。

聞き出す力は、話の誘導のうまさとも言えるし、伝える力は、患者さんにエネルギーを持つ言葉を送れるかどうか、だ。

私はこれまでに、6年間で3人の先生にかかった。

1人目の先生は、穏やかな優しそうな年配の先生だったけど、先生は「どうですか?」「ほぅ、それで?」「そうですねぇ」「そうかもしれませんねぇ」しか言わない。

先生は、ほとんど表情が変わることがなく、「そうですねぇ、じゃぁお薬増やしておきますねぇ」と物静かなまま診察が終わる。

私はこの先生のメンタルクリニックに2年近く通院して、薬がどんどん増え、副作用もひどいことになってきたので、ついには通院を止めてしまった。

ただでさえ、うつ病患者さんは脳の認知機能が低下している。先生が話をうまく誘導してくれないと、症状をきちんと伝えられない。結果、病状と薬が合わず、増薬だけが繰り返され、患者さんは不満を持ち、離脱してしまう。

聞き出す力がなければ、患者さんを減らしてしまうのだ。

2人目の先生は、美人の女医の先生だった。先生はテキパキしていて、何か質問すると、なるほど、と思うような明快な答えをくれる。

1人目の先生が全部「そうですねぇ」「そうかもしれませんねぇ」だったのに対し、眼が覚めるようなスカッとした答えが返ってくる。

でも、美人の女医先生は、答えはばんばんくれるが、私の内面の困りごとを相談しても、親身になって聞いてくれる感じではなかった。あくまでドライ。

そう割り切ってお仕事をしていたのかもしれないが、質問には答えてくれるが、話は聞いてもらえてない感があり、毎回、心に一抹の不満が残った。

話すだけでなく、聞く力もないと、これまた患者さんを減らしてしまうのだ。

3人目の先生が、今の主治医のK先生だ。K先生は、スポーツマンっぽいナイスガイといった感じの風貌で、論理的でありながら、心のあり方や、考え方についても示唆をくれる。

K先生は、ご自分では、たぶん気づいてないと思うが、「あなたはさぁ、」が口癖で、いつも私の気持ちを、同じスタンスから考えようとしてくれる。

何かを命令的に言うのではなく、「〜してみよっか」「〜やってみよっか」も口癖だ。

「〜してください」「〜しなさい」的な、厳命ではなく、K先生がそう言う口調で話してくれるので、何か新たな課題に取り組む時も、私は「やってみよっかな」と気軽な感じで向かうことが出来る。

「〜ねばならない」ではないので、大変、気が楽だ。なのでハードルは下がり、結果的に出来るようになっていく。

K先生は、私が症状を話すと、うなずきながら真剣な顔で聞いてくれ、私の言葉が足りないと「それってこういうこと?」と言い換えたり、聞き返したりしてくれる。

体調が良くなってきて、何かにトライしてみようと思って相談すると「いいんじゃない? でも無理はしないでね♪」とライトな感じで肯定してくれる。

K先生が私の状態をうまく聞き出してくれるので、薬の量も的確に見定めてもらえ、最小限。今のところ苦痛なほどの副作用もない。K先生が主治医になってから、私は着実に良くなってきている。

うつ病患者さんは、心が揺れている。だから言葉にとても敏感だ。先生のささいな一言で、先生方が想像する、何百倍もの落差で一喜一憂するのだ。

「私、治りますか?」

と患者さんに聞かれても、治ると断言出来ないのは分かる。でも、

「どうですかね」

と言われるのと、

「寛解目指して、一緒に向き合っていきましょうね」

と言われるのでは、天と地ほども温度差がある。

精神科医の先生に限ったことではないけど、お医者さんは、ほんとに、トーク・スキルを磨いておいたほうがいい。

クリニックの独立開業を考えているなら、なおさら。

話し方教室に通っておいても全然、損はないくらい、お医者さんにトーク力は必須科目なのだ。