うつ状態×うつ映画。マイナス×マイナス=プラスになるか試してみた。ユウウツな気分になれるオススメ映画3作。

うつ病の症状がひどく寝込んでいる頃、私はU-NEXTとAmazonプライムに依存して生きていた。

起き上がってテレビの前に座る元気もないので、ふとんの中でiPhoneを握りしめて映画を見ていた。

うつ病による、脳の認知機能の低下で頭が悪くなった私は、物分かりも悪くなってしまい、感情も乏しいので、心温まるヒューマンドラマや、心の葛藤を描く恋愛ものは、全然ピンと来なくなってしまっていた。

心の機微、みたいなものが、さっぱり意味が分からないのだ。にぎやかなコメディ映画も、面白いと感じる関心が持てないので、ただただ騒がしく聞こえて苦手だった。

その頃の私の感情は、恐怖や不安しかないので、恐怖や不安を描いた映画なら理解できた。なので私は、ディザスター・ムービーやパニック・ムービーばかりを見ていた。ホラー映画は、血が苦手なので、血の出ないモノを選んで見ていた。

世界滅亡モノ、災害モノ、巨大なタコに客船が襲われる話、街中に巨大なクモが繁殖して大パニックになる話、幽霊の話、人喰いザメが人を襲う話、etc…

(蛇足だが、人喰いザメモノはジョーズ以外にもたくさんある。私はほとんど見尽くしたので、人喰いザメ映画についてなら、「映画における人食いザメの多様性と亜種」というテーマで講演ができるくらい詳しい。全然自慢にならないが)

ドカーン!とか、ザバーン!とか、キャー!とかで説明してしまえる映画が、その頃の私の空白な時間を埋めてくれる、心の友だったのだ。

手帳にメモされた、その日見た映画を振り返ってみると、当時の私がいかに暗闇の中に生きていたかがよく分かる。人様には見せられない暗黒のラインナップになっている。

でも、病状の回復とともに、少しずつ頭の機能と感情を取り戻し、今は、映画に関しては病前と変わらない好みに戻ってきた。

2016年のメガ・ヒット映画「君の名は。」も見に行って感動して泣き、ストーリーが理解出来ること、感情が戻ってきていることをうれしく思った。もう1年公開が早かったら、私の頭では、理解不能で意味不明だっただろうな。

そんなわけで、今は小康状態の私だが、去年の秋頃までは、まだうつ状態で沈んでいる日が多かったので、なんとかしてこのうつ状態を脱したいと四苦八苦していた。

そんな私が、ダメもとで試してみたのが「うつ状態に、ユウウツ映画を見て、マイナス×マイナスはプラスになるんじゃないか作戦」だ。

健康な時でも、よくシナリオの練られた後味の悪い映画を見ると、すごくユウウツな気分になる。そして時間が経つと、また普通の心に戻る。

うつ病の私は、理由もないのにうつ状態だ。理由がないからこそ解決できず、居心地の悪い感じだ。

ーならばいっそのこと、うつ状態でユウウツな映画を見れば、気分と状態が一致するので、居心地悪くないのでは?

それで、もしかしたら、健康な人がユウウツな映画を見た時と同じように、しばらく経ったら、普通の心に戻れるんじゃないかしら?

そう考えた私は、ユウウツな映画をわざわざ探して見てみた。

毒を持って毒を制す、みたいな感じだ。かなりの反則技だ。

ユウウツ映画は気分を落ち込ませる。でも私はハナから落ち込んでいるので、気分と状態が一致し、見終わった後、重いけど、なんだかしっくりくる感じなのだ。

そして、ちょっと時間が経つと、少し心が軽くなる。ユウウツ映画を見た後味の悪さから解放されるのにつられて、心がちょっと軽くなるのだ。

コレはいい、と私は思い、ユウウツそうな映画を探し求めた。

たくさん見たけど、ただイヤな気分になるだけでなく、その後味の悪さについて、考えさせられるものの方がいい。そしてドバドバ血が出ない映画。

シナリオのクオリティが高い、お話として面白い作品が、マイナス×マイナス=プラスの効果をもたらしてくれることが分かった。

そんなわけで、以下に私のオススメ・ユウウツ映画を紹介してみることにする。

でも、皆さんが、その時の私と同じコンディションとは限らないので、体調と相談しながら自己判断で見てね。

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〜マイベスト・ユウウツ映画3作〜
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■SAW 〜ソウ〜

2人の男が目を覚ますと、そこは青白い、古びた広いバスルーム。彼らはそれぞれ部屋の対角線上にあるパイプに、鉄の鎖の足錠で繋がれている。

彼らの間、部屋の中央には死体が転がっている。それは何者かが始めたゲームで、2人は「6時までに相手を殺すか、自分が死ぬか選べ」と宣告される。手近に置かれた糸ノコギリ、限られたアイテムで、2人は脱出を図ろうとするが…。

ストーリーが進むにつれて、いろんなエピソードが語られ、各所に散りばめられた伏線を、ラストで全部キレイに回収していくとこなんかは、鮮やか過ぎて見ていてもうゾクゾクする。そしてラストで愕然とする。もう一度、冒頭のシーンを見直したくなる。

有名なサイコ・スリラーの第1作だ。2作目以降はサイコ・スリラーと言うよりも、血がドバドバ系になるので、気を付けて。

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■ミスト

湖のほとりにある町を、激しい嵐が襲った翌日。映画のポスター画家をしているデヴィッドは、息子のビリーとスーパーマーケットに出かける。町には何やら怪しい霧が立ち込め、霧の中から1人の男が血を流しながらスーパーマーケットに飛び込んでくる。

「霧の中に何かいる!」

デヴィッド親子はたくさんの買い物客とともに、スーパーマーケットに閉じ込められる。閉じ込められた人々の中で、次第に乱れていく秩序。そして霧の中にいるのは何か? デヴィッドは脱出を図ろうとするが…。

スティーブン・キング原作のSFホラー映画。ラストは原作とは違っているが、映画のシナリオを見たスティーブン・キングが、「コレを思い付いていたら、原作もコッチにしたよ」と言ったという、原作者お墨付きのバッド・エンディング。

自分ならどうしたか?と考えさせられる作品。

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■リミット

イラクにある、アメリカの民間土建会社でトラック運転手をしているポール・コンロイ。

ある日何者かに襲われ、気がつくと板作りの粗末な棺桶に入れられ、地中に埋められていた。

手元には見知らぬ携帯電話と、わずかなアイテムだけ。状況が全く分からないポールは、自分の救出を頼むため、携帯電話でSOSを発信する。

それ以上は知らずに見た方が、主人公ポールと一緒に状況が分かってくるのが面白いので書かないが、「マーク・ホワイト」と言う名前がキーワードで、エンディングでは、「あっ、あっ、あっ! あっ、あっ」となる。

話がずっと棺桶の中で展開する、究極のシチュエーション・サスペンス。閉所恐怖症や、暗所恐怖症の方は見ない方がいいと思う。

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以上、3作品をご紹介してみた。健康な人でもユウウツになれること間違いなし!の重ーい作品ばかりだ。でも、どれも見終わった後に考えさせられる、秀逸なストーリー。

症状が悪かった時の私のように、うつ状態から上がれない、もう他に手がない、という方は試してみるのもありかも。

でも、後味悪い映画、とお知らせしてご紹介しているので、ノークレームでどうぞよろしく。