うつ病を知らないあなたへ。うつ病がどれほど大変なものかという例え話を聞いて欲しい。

このブログは、軽い読み物に見せかけておいて、うつ病のヤバさを皆さんにお知らせしようという、明確な下心を持って書かれている。

そんなわけで今日は、うつ病がどれほど大変な感じであるか、という例え話をしよう。この続きはぜひ、イマジネーションを総動員して読み進めて欲しい。

ーある日あなたは突然告げられる。

「あなたは囚われました。これから拷問を開始します」

「えっ、仕事に行かなくちゃいけないんだけど」

「あなたの希望は受け付けません。それでは拷問スタート」

途方もなく理不尽だが、どうしようもない。あなたはうつに選ばれてしまったのだ。

健康体のあなたは変な注射を打たれ、インフルエンザの病み上がりの時のように身体がダルくなる。

体力が弱ったあなたに、ギッチギチの筋力養成ギブスが全身に装着される。バネが伸びず、体が思うように動かせない。

頭には重いゴーグルが装着される。視界は輝きを失い、世界は急に色あせて見える。頭が重い。

舌にも何か細工をされたようで、何を食べても美味しいと思えず、味がよく分からない。あなたは無理やり飲み込むように食事をする。

頭には電極が取り付けられ、思考が乗っ取られたようになり、あなたの意志は無視される。脳内にモヤがかかったようにハッキリしない。

あなたが、あなたの人生で一番不安を感じた時の強さの不安が、さらに最大限に増幅され、それが24時間体制で絶え間なく続く。

脳がコントロールされているので、楽しいことやうれしいこと、面白いことは何ひとつ感じない。幸せを感じることも無い。

この状態では仕事にも行けない。遊びにも行けない。そんな気力は湧かない。

その状態であなたは一室に取り残される。窓が付いていて、外を眺めることは出来る。外の世界では誰もが生き生きと暮らしているのが見える。それがより一層、自分の置かれた理不尽な状況を際立たせる。

外に出ることは自由だが、ドアを開けると毒の沼で、出歩くとビリビリしてゴーグルの視界が赤く点滅し、あなたのライフは激減する。

なぜこんな無理ゲーに強制参加させられているのかは分からないが、ゲームオーバーを選ぶことは出来る。そのためのツールは自由に手に入れることが出来る。

しかしゲームオーバーを選んだ場合、リスタートは出来ない。思考停止、ブラックアウト、終わり。

「あなたは死亡しました」

いや、それはダメだ。それだけは避けたいという思いと、死を選びたくなるほどの苦境との間で、あなたの心は葛藤する。でもこの苦しみは、まるで終わりが見えてこない。エンドレスに繰り返される。

これほどまでに自分の意思も身体も自由にならないのに、時々、見当違いの声援が届けられる。

「がんばって!」

「気の持ちよう、気の持ちよう!」

この不自由な状態で、何の役にも立たないメッセージを受け取り、何をがんばればいいのか、あなたは全然分からない。

心の中は冷たい絶望感で埋め尽くされる。昼も夜もなく、いつまでこの状態が続くか分からない。

将来のこと? この状況で考えられるはずもない。夢や希望を持つことも許されない。ただただ苦しい。

ーその状態で、1年ほど経過。

あなたはもう、かなり衰弱している。

でもいつ解放されるのかは全く分からない。先は見えない。

あなたは囚われている。具合の悪いまま、囚われ続けていく。あなたは膝をつき、声なき叫びを上げる。

「助けて…」

その声は誰かに届くのか。それすらも分からない。何も分からない。分からない、分からない、分からない、分からない…

…と、例えてみるとこれくらいの大変さが、うつ病なんである。

こんなひどいやり方ないよね、と思うくらいの、かなりの拷問レベル。

たいていの人は参る。かなり参る。死にたくもなる。だから中には死んじゃう人もいる。

それでもいつか、今の状況から抜け出ることを信じて、うつ患者さんは今日もどうにか生きている。

死なないように生きている。

だからうつ患者さんを見かけたら、外側からは普通に見えても、内面では上に書いたようなことが起きているので、すっごく大変なんだな、と、そっと見守ってあげて欲しい。