うつで寝ていたら目がぐるぐる回る。コレもしかしてタイムトラベルの前兆!?

うつ病療養中の私は、目が覚めている時間のうち、横になって過ごしている時間が70%、起き上がっている時間が30%くらいの割合で過ごしている。

なのでこのブログは(読んでくださっている方には大変恐縮なのだが)大半は横になったままiPhoneでポチポチ書いたものなのである。

昨日も、いつものごとく横になってiPhoneを触っていたら、突然めまいがやって来た。

うつ病による身体症状なのか、薬の副作用なのか分からないけど、近頃時折、頭がグラグラして目が回る。

天井が回転して辛い。何か楽しげなことを考えて、この状態から脱出せねば! でも辛くて楽しいことが想像出来ない。辛い。ぐるぐるする。何か、何か、想像しなくちゃ、と横になった私は焦る。ぐるぐるするのに何かを想像しようと焦る私の頭は、斜め上を行く答えをはじき出す。

ーあ、分かった、このめまい、もしかしてアレ? よくあるタイムトラベルの前兆ってやつ? ヤバイ私、タイムトラベルしちゃう?

ぐるぐる目を回した私は、別世界に飛ばされてしまうのだ。

もしタイムトラベルしてしまうなら、やっぱり戦国時代だろうか。昨今のタイムトラベルものは、猫も杓子もみーんな織田信長のとこに行く。そしてみんな、信長が本能寺でやられちゃうよ、ってなかなか教えない。

まぁ、教えたら物語が始まらないか。でも私ならすぐ言うね。本能寺行ったらヤバイよって教えちゃうね。織田信長ファンとして、断固として止めるよね。

でもそんなこと言ったら、激昂タイプの信長にキレられるかも。たぶんキレちゃうよね。それで私は打ち首&さらし首。

うつで何度も死にたいと思ったけど、さらし首はちょっとイヤかも。やっぱり戦国時代は危ないからやめといて、何かこう、もっと過ごしやすい時代に…

…などと考えていたら、めまいが治った。

想像力の勝ちである。あんまりいいイメージの空想じゃなかったけど、結果的にめまいが止まったので良しとしよう。

そう思い、引き続きゴロゴロと過ごしていたら、2度目のめまいがやって来た。ぐるぐるする。辛い。よし、さっきのパターンでタイムトラベルだ。

ぐるぐる目を回した私は、またもや別世界に飛ばされてしまうのだ。私はぐるぐるする頭で考える。

ーこ、今度はどこにしよう、外国だと言葉が通じないし、とりあえず日本だな。でも過去にさかのぼるほど不便そう。じゃあ近い過去に戻ったら? 1981年くらい? 私10才か。じゃ今回の設定は、10才の頃に時間が巻き戻るパターン。

どうしよう、10才に戻れたら未来の夢も自由に選べちゃう。あの頃なりたかった職業って何だったっけ? もっと勉強もしよう、でもやっぱ遊んじゃうかな、遊んじゃうよね、10才だもの。

そうか、そこからリスタートするなら、うつ病にならない未来も選べるかも。今度はもっと上手く生きて、うつなんかにはならないようにしよう。

あ、でも人生変えるとやっぱり困るわ。

うつにはならないかもしれないけど、家族や友人、今の私の大切な人達に会えなくなるかも。それは困るわー。

10才になっちゃったら、35年後の私が大切に思っている人達に再会するためには、人生のさまざまな選択肢や分岐を、今の私が選んで来た通りに進んで来なくちゃいけない。

そんなの絶対無理。どこかで絶対間違える。大事な人達に会えなくなるくらいなら、やっぱり私は今のままでいい。10才に戻るのは無しの方向で…

…などと考えていたら、めまいが治った。

今回もまた、あんまりいいイメージの空想じゃなかったけど、ま、めまいが止まったので良しとしよう。

そう思い、またもやゴロゴロと過ごしていたら、3度目のめまいがやって来た。ぐるぐるする。もうイヤだー、めまいもタイムトラベルもいらないよー。

ぐるぐるした私の手の中で、iPhoneがブルブル震え出す。着信表示は、友人の横水さんだ。私は応答ボタンをタップする。

「もしもーし」

横水さんの声が聞こえ、私は混乱しながら答える。

「えっと、私、あの、今、タイムトラベルしそうで」

普通、電話をかけた相手(45才)からこんな返事が返ってきたら、普通のちゃんとした大人なら、失笑するか、心配するかのどちらかだと思う。

しかし、電話の向こうの横水さんは違った。横水さんはこう言った。

「どこ行くの?」

「えっ? あっ、あの、えー、えーと」

めまいはいっぺんに治った。

私はタイムトラベルに行かずに、横水さんとお茶飲みに行くことになった。お茶を飲みながら、私は横水さんに言う。

「タイムトラベルしそうな私も大概おかしいけど、どこ行くの?って返事もどうかと思うよ」

横水さんは答える。

「だってタイムトラベルしたら電話が通じなくなるじゃん」

…だよねー、つながらないよねー。

私は横水さんと友達で、心底よかったと思う。

あ、あのことわざは、こういう時のために用意されていたのか。

「類は友を呼ぶ」